作家の林真理子さんが日大の理事長に就任されたようですね。
日大といえばアメフト問題に始まり最後は田中理事長の脱税事件逮捕と不祥事が続き、日大芸術学部卒業の林真理子さんも大部心を痛めていた様子でした。
林真理子さんの活躍は執筆以外でも目覚ましいものがありますが、そのバイタリティで日大の腐敗を正すためにも頑張ってほしいです。
林真理子さんといえば、エッセイがベストセラーになり、「最終便に間に合えば」で直木賞を受賞、小説は多数映画やドラマ化されているので、読まれていなくてもお馴染みの作品があるのではないでしょうか。
私も何冊か読んでますが、恋愛もの、歴史小説、不倫、家族問題など、様々なジャンルを網羅され、その作品数には頭が下がります。
ちょっとびっくりするのが、実話が意外に多いこと。
最近も「奇跡」を出版され、こちらは写真家と梨園の妻との不倫を暴露本ともいえるのではという位、実名で出版されています。
「RURIKO」では、浅丘ルリ子さん本人に話を聞き、石原裕次郎、小林旭、美空ひばりとの軌跡をやはり実名で書かれたものですが、ここまで書いて大丈夫なの?と思う位生々しく当時の状況が描かれています。
そして、今回ご紹介する本が「もっと塩味を」です。
「もっと塩味を」あらすじ
こちらは実名ではないのですが、フランス料理好きの方であれば、誰がモデルかすぐに分かったと思います。
パリで初めて日本人が初めてミシュランの星を取った方といえば、そう小田原で「ステラマリス」で有名になり、その後パリに渡り、ミシュランの星を獲得した吉野建氏です。
この小説は吉野建氏の奥様であった吉野美智子さんをモデルにしたと思われます。
美佐子は和歌山の裕福な主婦。
夫と共にグルメ三昧するが、当時和歌山では珍しいフランス料理に目覚め、自分でフランス料理店を経営したいと夢に持つ。
ある時雑誌で東京のフレンチシェフの特集があって、その一人の有名シェフ大久保に自分の夢を手紙に託す。
思ったことをすぐに実行するのが美佐子の凄いところ。
またその手紙を読んだシェフ大久保が和歌山に美佐子に会いに行くというところから美佐子のフランス料理の世界に入るきっかけが始まります。
大久保は東京にも美佐子を呼び、様々な一流レストランに連れていきます。
二人は当然恋愛関係に。
美佐子は夫と別れ、大久保の元に東京に行きますが、大久保は既に美佐子から心が離れています。
それでもめげない美佐子は吉野建氏モデルと思われる修行していたパリから戻った天才料理人安川直人と知り合い、結婚。
三崎で自分のお店を成功させた後、夢だったパリにお店を持ちますが、決して順風満帆ではなく、ミシュランで星を取るまで苦労の連続でした。
気性の荒い直人を支えたのは美佐子夫人。
お店のお客様に対しても献身的なサービスに努めマダムぶりを発揮させました。
ミシュランで星を取れたのもそんな美佐子の影の力が大きかったと思われます。
忙しさのあまり美佐子は乳がんを発症しますが、治療を続けながらも直人を支えます。
そこまでしてもらっても直人は他に子供を作って、美佐子に離婚をせまります。
美佐子は離婚を拒みますが運命には逆らえず・・・・
全力で人生を駆け抜き、愛に生きた美佐子の生涯を描いた力作です。
人妻でありながら、子供も捨ててフランス料理と男に人生を捧げた美佐子の生き方はtちょっと身勝手で共感しにくい部分もありますが、一流のレストランに舌鼓を打つ様は羨ましい限りです。
今でも同じかもしれませんが、当時のシェフは本当によくモテていました。
一般人の私にもその噂は聞いましたので相当なものだったと思います。
私も実際小田原の「ステラマリス」に伺ったこともあるので、美智子さんのマダムとしての存在は相当なものだったと記憶しています。
美智子さんは2007年に心不全で亡くなっています。
この本が出版されたのが2008年。
林真理子さんも相当のグルメなので、当然吉野夫妻とは交流があったと思われます。
相当取材されたと思われますが、どこまでが真実かは定かではありません。
私の想像ですが、林真理子さんと美智子さんの親交が深く、自分が亡くなった後、小説にしてもいいと了承されて、全てを語られたのではないのかなという感じがしますがさて、どうでしょうね。
最近はお家でも本格的なフレンチが楽しめるようになりました。
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