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心の癒しを求めて「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」標野凪~キノコのタルト

「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」標野凪 双葉文庫

 

料理やスイーツを題材にした小説が増えまくっていますね。
喫茶店を扱っているものもすごく多くて、内容も心が疲れたり、傷ついたりした人がお店に入って店主や出てくるメニューで癒される。
この小説も大雑把に言ってしまうとそういう類なんだけど既に3巻まで出版されているので何かに響いている方が多いのかなと思って買ってみました。
そう、あと2冊もそのあと購入しましたよ!!

 

「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」あらすじ

 

住宅地の奥でひっそりと営業している、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。この喫茶店には、がんばっている毎日からちょっとばかり逃げ出したくなったお客さんが、ふらり訪れる。SNSで発信される<ていねいな暮らし>に振り回されたり、仕事をひとりで抱え込み体調を崩したり・・・・・。目まぐるしく変わる世の中で疲れた体と強ばった心を、店主そろりの美味しい料理が優しくほぐします。今宵も「あなたの悩みに効くメニュー」をご用意してお待ちしております。心がくつろぐ連作短編集、開店。

「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」

 

 

 

 

「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」感想

 

第1話から第5話まで仕事や生活に悩みを抱える女性が「喫茶ドードー」を訪れます。
「喫茶ドードー」の店主、そろりさんの適切な名言にもグッときますが、訪れる皆さんの
それぞれの悩みにも思いっきり共感出来ちゃうんですね。
特に第1話のSNSで<ていねいな暮らし>に振り回される話は、私自身もみんななんて素敵なお家に住んで、お部屋も綺麗で作るお料理はプロ級に上手でお洒落な盛り付けで・・・と、つい自分と比べて自己嫌悪に陥りつつ、お洒落なグッズをつい真似して購入したり。でもやっぱりしっくりこなくて、自己嫌悪に陥ったり。


他人の生活って覗いてみたい気持ちはあって、スマホという道具を手に入れたことでそれが実現可能になったわけだけど果たしてその情報は本当に必要なものなのかと考えてしまうことがあります。
まあそこまで深くは考えないようにしていますが、SNSによって振り回されたり傷ついたりする人もいるのは事実。


第1話ではそんな時に訪れた喫茶ドードで出されたものは「やかんコーヒー」なるもの。お湯を沸かしたケトルに惹いた豆を入れて、そのまま置いてカップに注ぐことでケトルの底に粉がたまり、それが雑味になるのでコーヒー豆の全てを余すところなく飲めるというもの。
この「やかんコーヒー」からそろりさんはまるで女性の悩みを見通してるかのごとく、名言がポンポン出てきます。
その名言が見事なまでに悩みのツボにはまっているのがそろりさんの凄いところ。


仕事で嫌なことがあった時、居酒屋やカフェに寄るだけでいつの間にか癒される事がありますよね、そこにそろりさんのような店主がいたら更にいいですよね。
「喫茶ドードー」の料理にそろりさんの名言。皆に愛される小説に育っていることに納得の1冊でした。

 

本の中の美味しい料理

 

第1話では「やかんコーヒー」だけではなく「免疫力を上げるコーヒー」なるものが登場します。
こちらはショウガにシナモン、カルダモン、八角、ブラックペッパーが入ったスパイシーなコーヒー。
紅茶にはスパイスを入れてチャイにして飲むことはあるけれど、コーヒーにスパイスは珍しい。
最近コーヒーを飲むと胃をやられることがあるので控えていたのですが、こちらを試してみたら内臓が温まる感じでとっても美味しく飲めました。寒くなるこれからお勧めの飲み物です。

 

気になったのは第4話の森のおくりものと称された「キノコのタルト」。

これでもか、というくらいにマッシュルームが載っているタルトを彩花は口に運ぶ。ぎゅっと濃縮されたキノコの旨味が口中に広がった。卵の生地は驚くほどに濃厚で、ふかふか。とろけるような滑らかさだ。堅く焼き上げたタルトは縁のところはサクサクと歯ごたえがあり、食感まで楽しめる。
「美味しいです。マッシュルームってこんなに濃い味がするんですね」
庭掃除を続ける店主に声をかける。
「キノコは乾燥すると旨味が増すんです。それに太陽にあてたキノコはビタミンDが豊富なんですよ」

「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」

 

マッシュルームのタルト。贅沢ですよね。
作ってみました!!

 

「キノコのタルト」レシピ

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材料 15cmタルト型1台分

 

タルト生地

薄力粉        60g
強力粉        60g
アーモンドパウダー  15g
バター        60g
水          30g
塩         小匙1/2
グラニュー糖      5g

卵           1個
卵黄          1個
牛乳         25g
生クリーム      30g
ヨーグルト      25g
塩。こしょう      適量

マッシュルーム   1パック(130~150g)
玉葱         1/4個
ベーコン        2枚
塩、こしょう、オリーブオイル  適量
ピザ用チーズ     50g
粉チーズ       10g



1.薄力粉、強力粉、アーモンドパウダーは合わせてふるい、薄切りにした冷たいバターと共にフードプロセッサーに入れ、バターが1~2mmの粒上になるように回す。

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水、塩、グラニュー糖を混ぜたものを少しずつ加え、ひとかたまりにまとめる。

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2.薄く四角にまとめ、ラップに包み30分~1時間程冷蔵庫で休ませる。

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3.②を3~4mmの厚さに伸ばし、型に敷き込みホイルを敷き重しを載せて200℃のオーブンで13~15分空焼きする。

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4.フライパンにオリーブオイルを入れ、薄切りの玉葱、1cmに切ったベーコンを炒め、縦に4等分したマッシュルームを加え、全体にしんなりするまで炒め、塩、こしょうし、冷ましておく。

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5.ボウルに卵、卵黄を入れ、ホイッパーでほぐし、ヨーグルト、牛乳、生クリームを加えよく混ぜる。塩、こしょう、ナツメグを加える。

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6.空焼きしたタルトに④を全体に広げ、⑤を型いっぱいに流し入れる。

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7.ピザ用チーズをのせ、粉チーズもふる。180℃のオーブンで25~30分焼く。

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マッシュルームは小説では干していますが、安い時に冷凍しておいたものを使いました。冷凍でも充分旨味が増しますよ。

とにかくマッシュルームたっぷりで美味しくできました。
卵の生地に濃厚さをだすためにヨーグルトを加えてみました。
生地はサクサクでマッシュルームと卵の生地は濃厚でうまく再現出来たかなと思います。

マッシュルームって他のきのこよりお高めなのですが、旨味が強いのでインパクトがありますね。もちろん、しめじやエリンギなど他のきのこと合わせてもOKです。

キノコのタルト、秋にぴったりのまさに「森のおくりもの」でした。

 

まとめ

 

訪れることで悩みが癒されるおひとりさま専用カフェ。こういう設定やっぱり私は好きなんだなぁ。
いつの時代も人間である以上悩みはつきないのだけど、特に最近は悩みの根が深そうな感じがします。「喫茶ドード」のような癒される場所が今の時代必要なのかもしれないですね。
店主のそろりさん自身も何か秘密がありそう。
2巻、3巻と読むのが楽しみです。