「今日のハチミツ、あしたの私」寺地はるな ハルキ文庫
表紙の分厚いホットケーキに魅せられました。
最近ご飯小説が多くって、また表紙も美味しそうに描かれているので、ついつい目に留まってしまうのです。
上手に出版社の方も食いしん坊を嵌めているなぁと思いつつ、こちらの小説は美味い描写は勿論だけど、結構深く考えさせられるめちゃくちゃいいお話しでした。
「今日のハチミツ、あしたの私」あらすじ
中学生のときにいじめを受けていた時に見知らぬ女性から蜂蜜の瓶をもらった碧が、16年後に恋人の故郷で引き寄せられるかのように蜂蜜園の手伝いを始める物語。
碧は養蜂に魅せられ、新しい人生を切り開いていく。恋人の安西、養蜂家黒江、スナックのママあざみさんなど、様々な人達と出会いながら人生を切り開いていく日々を描いています。
「今日のハチミツ、あしたの私」感想
「もし明日人生が終わるとしたら、きっとわたしは、喜ぶ」
冒頭の文章にドキッとする。
いじめを受けていた中学生の碧は、30歳の大人へと成長。
「明日なんて来なければいい」なんて思っていた頃とは裏腹にしっかりと地に足の着いた生活を送っている。恋人の安西の存在を除けば・・・。
安西に振り回されながらも一歩一歩自分の居場所を見つける碧は尊敬に値する。
願わくばさっさとこんな男とは別れてしまいなさい!とつっこみたくなるが、安西に流されつつもしっかりと自分の足で人生を切り開いていく碧の姿には感銘を受けます。
出会いも大切だし、その出会いからどうなるのかはやはり行動あるのみだということを改めて認識させられた1冊でした。
「今日のハチミツ、あしたの私」名言
読んでいてグッとくる名言が至る所に散りばめられています。
「蜂蜜をもうひと匙足せば、たぶんあなたの明日は今日より良くなるから」
「あなた自身が、あなたを大事にしてないから。あなたがあなたを嫌っているから。だから周りの人はみんな、ますますあなたを大事にしないし、嫌いになる。こいつはそういうふうに扱ってもいいんだって思われてしまう。」
「食べものが身体をつくるのはあたりまえだけど、それだけじゃなくて、誰かと一緒にごはん食べて欲しかったとかおいしかったとか、そういう記憶ってずっと残るから、食べてもなくならないよ。記憶がのこるなら、それはごはんも残ってるってことだよ」
「碧が、行動したからだよ。碧の良いところがその人たちに伝わったからだよ。全部、あんたが自分の手で勝ち取ったもんだよ。」
小説の中の美味しい料理・スイーツ
「りんごの蜂蜜トースト」「りんごをごく薄く切ってバターを塗ったパンの上に並べてトースターで焦げ目がつくまで焼き、蜂蜜を好きなだけかけて食べる。」「鶏肉のソテー、蜂蜜ソース」鶏肉をパリっと焼いて蜂蜜と醤油と粒マスタードを混ぜ合わせたものを肉に絡める。付け合わせのトマトも蜂蜜をかけ、レモンを搾ったものを冷蔵庫で冷やす。アボカドを蜂蜜と醤油で和え、スモークサーモンとあわせ、冷製パスタに。レモンを蜂蜜に漬けてつくったシロップを炭酸水で割る。
ピンクと緑と白のゼリーを賽の目に切って凍らせたものに、ソーダ水を混ぜる。「ボウルの中で、牛乳と蜂蜜を混ぜ合わせ、レモンを搾る。酸を加えることによって、牛乳を凝固する。とろみのある、甘酸っぱい飲み物になる。」「冷蔵庫から取り出した鮭の身を、ひと口大に切って、塩を振る。あざやかなオレンジ色の身の上で、塩の粒がじわりと溶ける。小麦粉をまぶして、多めの油で揚げ焼きにする。こんがりと仕上がったところで、別の鍋で醤油と蜂蜜と日本酒が軽く泡立つまで煮詰め、その中に揚げた鮭を投じた。
~中略~
白いごはんを盛り、その上にたれがよく絡んだ鮭を乗せ、きざんだ大葉を散らした。少し考えて、煎った胡麻を振る。」
「今日のハチミツ、あしたの私」より引用
三吉さんは包装を剥がして、口に入れた。蜂蜜を多めに入れたマドレーヌは、砂糖だけのものよりも焼き色が濃い。噛むとふわりと崩れる生地になるよう、配合を何度も何度もやり直した。「うまいな」うん、うまいよ。三吉さんはふっと目を細める。
「蜂蜜マドレーヌ」レシピ
薄力粉 30g
アーモンドパウダーを入れることでよりしっとりします。
碧さんの蜂蜜マドレーヌに近づけたかなぁ?
まとめ
寺地はるなさんの著書他にも読んでみたくなりました。
お勧めの1冊です。
これから読んでみたい寺地はるなさん著書の本です。