「国道食堂 1st season、2nd season」小路幸也 徳間書店
X(旧ツイッター)で著書が飼い猫との会話!?を毎日つぶやいていて、それが妙にツボに入ってしまい、どんな小説を書いている方なのか、きっと絶対面白いに違いないと思って購入。
「それで? 飼い主。少しは進んでいるのかしら原稿」
— 小路幸也 (@shojiyukiya) December 4, 2023
「頑張ってます……」 pic.twitter.com/97Jy452aU8
「飼い主、違うわこうよこう。手首ここから曲げるの」
— 小路幸也 (@shojiyukiya) December 8, 2023
「無理です」 pic.twitter.com/74iYSnAN6c
猫とこんな会話できる方!?なので、期待を裏切らずいや期待以上のめっちゃいい小説でした。
「国道食堂 1st season、2nd season」あらすじ
神奈川県の小田原から山梨県の甲府へ向かう国道517号沿いにある「国道食堂」。
店主は元プロレスラーの本橋十一。お店の中には「リング」があるという不思議な作り。そこではプロレスや芝居が行われたりする。お店の料理は何を食べても美味しいとトラック運転手や営業マン、地元の警察官、高校生などが通いそれぞれのストーリーが展開する短編集。
それぞれにドラマがあって、途中殺人事件の話などもあって、ミステリー物?かと錯覚するけれど基本は人情味溢れる素敵なお話しでした。
「国道食堂 1st season、2nd season」感想
一見、何の繋がりもない人たちがお店に集まるのだけど、みんなどこかで繋がっていく。1st season、2st season続けて読まないと人間関係がわからなくなるので、出来れば一気読みをお勧めします。
まあこんなうまい具合に話が繋がるのかと思うけど、それは小説なので良しとしたいし、こういうほっこりするお話私は大好き。
うまくいきすぎているとはいえ、店主のプロレスラー本橋十一の人柄のためか、縁ある人が集まっちゃうんでしょうね。
スピリチュアル的にいうと十一は「波動の高い人」という感じなのかしら。
人と人を繋ぎ合わせる役割、国道食堂は一種のパワースポット的な存在なのかもしれないですね。
そう思うと満更全くあり得ない話ではないのかなと、ここまでではないけれど、そういう場所って結構聞きますよね。
話のテンポもよくて長編だけどそれぞれの関係性が気になって、一気に読んでしまいました。
本の中の美味しい料理
何を食べても美味しい食堂という事なんだけど、出てくる料理はチャーハンとかカレー、餃子、唐揚げ、天丼、かつ丼、豚のショウガ焼き定食、回鍋肉定食、焼き魚定食、うどん、そば、ナポリタンにオムライス、ビーフシチューなど和洋中なんでもある大衆食堂という感じでしょうか。
お料理の美味しいポイントは所々描かれています。
例えば唐揚げ。
ギョウジャニンニクを一晩漬けこんだ醤油ダレを使って下味を付けるのが秘訣なんだ。正にその醤油ダレが秘伝のタレってやつだ。
これが本当に旨い。
もう下手したら何百個も食べているんだが、飽きない。本当に飽きない。旨い。
「国道食堂 1st season」より引用
卵チャーハンは
同じくギョウジャニンニクを漬け込んだ醤油ダレを隠し味に使う卵チャーハンを組み合わせた「唐揚げチャーハン」はうちの看板メニューのひとつだ。
「国道食堂 1st season」より引用
わらじトンカツ定食
このトンカツは肉の旨さはもちろんだけどロースを叩いて伸ばしてさらに5枚を重ねて揚げるってのだ。ミルフィーユカツってやつだな。ただの薄切りロースを重ねたのはどこにでもあるだろうけど、俺が叩いて伸ばすってのが売りさ。俺の筋肉が、力が、肉を旨くさせるんだよ。
「国道食堂 1st season」より引用
チキンカレー
そんじょそこらのチキンカレーじゃない。何せ水はほとんど使わないで野菜から出る水だけで煮込んでいく。だからめちゃくちゃ野菜の旨味が出てそれとチキンの旨さが合わさって本当にコクのあるカレーになっている。何杯でも食べられる気がするんだぜ。
「国道食堂 1st season」より引用
餃子
ギョーザは野菜たっぷりのギョーザだ。旨さの秘訣はショウガをたっぷり入れるところだ。そして手作りで厚みがあるから焼くとプリップリになる皮がまた旨い。これはみさ子さんがいつも仕込んでくれるんだけど、俺がこの筋肉で思いっきり練っていくことで旨味が出るのさ。金一さんが練ってみてもあのプリップリの旨味は出ないんだ。俺が練り込まなきゃダメなのさ。このギョーザはどんなに食が細い奴でも軽く十個はイケると思うぜ。
「国道食堂 1st season」より引用
何か再現しようと思ったけれどまずギョウジャニンニクはなかなか手に入らない。
トンカツは筋肉勝負なのでこれも無理。
カレーはもう少し情報が欲しかった。
餃子は私も野菜や生姜たっぷりで作るけれど、まあ美味しいとは思うけど絶品とまでは程遠く、やはり筋肉が必要?
ということで今回は再現は断念。
こういうスタンダードな料理って普段作っているだけに、とびきり美味しく作るって結構難しいんですよね。
でもお店レベルの味を作れたら最高だろうなぁ。
まあ読んでいるだけで美味しさは伝わりましたよね。
まとめ
小路幸也さんの本は多分X(旧ツイッター)を見なかったら読んでいなかったかもしれませんが、「国道食堂」は本当にお勧め出来る小説です。
他もきっと面白そうですね。
少しずつ集めて読破していきます。
文庫本で出ています。
でもやっぱりこちらがいいかな。