「ライオンのおやつ」小川糸
小川糸さん、大好きな作家さんです。
「ライオンのおやつ」は2020年の本屋大賞第2位の作品です。
ちなみにこの時の大賞は凪良ゆうさんの「流浪の月」でした。
審査員の方達相当悩んだだろうなぁ。
NHKでドラマ化もされたようです。
「ライオンのおやつ」あらすじ
33歳で余命宣告された主人公、海野雫が瀬戸内のレモン島の「ライオンの家」というホスピスで、残された人生を過ごすお話。
「ライオンの家」では毎週日曜日がおやつの時間。
入居者はもう一度食べたい思い出のおやつがリクエストできます。
誰か一人の再現されたおやつが出され、リクエストされたおやつの思い出と共にみんなでおやつを楽しみます。
小川糸さんの文章が優しくて悲しいのだけれど心温まる作品です。
「ライオンのおやつ」感想
もう大好きなんですね、小川糸さんの小説が。
瀬戸内のレモン島というロケーション、全ての登場人物の溢れる優しさ、温かさ、そして美味しいごはん。
文章から映画を観るような感じで映像が浮かび上がります。
悲しいお話なのに、読後感は反対に心が温かくなって、日常の当たり前の幸せを改めて感じます。
自分の最後に食べたい思い出のおやつは何だろう?
「思い出」というキーワードが入ると相当悩みそうです。
でもこの質問、本当に最後が近づいてきたら思い出のおやつを考えるだけでちょっと幸せ感を味わえそう。
食べ物の力は偉大です。
本の中の美味しいおやつ
おやつという言葉の響きには、独特のふくよかさ、温もりがある。
「ライオンのおやつ」より引用
昔の時刻の八つ時(やつどき)、現代の午後3時ころに食べたことから「おやつ」と呼ばれました。
江戸時代には、まんじゅう、せんべい、団子などのお菓子が登場していたし、「おやつ」という言葉も既に使われていたようです。
おやつなる存在は世界各国存在し、イギリスの「アフタヌーンティー」は有名ですね。
こちらはハイソなイメージがあるけれど「おやつ」なる言葉は郷愁を感じるものがありますね。
昔はおやつって素朴なものが多かったけど、今はスイーツ全盛時代。
「ライオンの家」の入居者のおやつもカヌレや豆花、アイスクリーム添のアップルパイ、牡丹餅・・・・様々です。
そして肝心の雫がリクエストしたおやつはネタバレになってしまいますが、「ミルクレープ」なんです。
小学生の雫がお父さんの誕生日に作ったお菓子です。
私が選んだのは、ミルクレープというお菓子でした。
薄いクレープ生地をたくさん焼いて、その間にクリームをはさんで重ねていきます。きっと、子どもながらに、自分でも作れそうな簡単なお菓子を選んだのでしょう。オープンを使わず、フライパンで作れるというのも、ミルクレープを選んだ理由だったかもしれません。
~中略~
私は、生クリームだけでなく、冷蔵庫に合ったジャム、それも数種類のジャムを織り交ぜていきました。つまり生クリームの次はイチゴジャム、その次にまた生クリームを塗ったら、今度はマーマレード、というふうに、味にバリエーションを持たせたのです。
~中略~
そのミルクレープの味が忘れられません。自分で作って言うのもなんですが、本当においしかったのです。
「ライオンのおやつ」より引用
作ってみようと思ったら「グレーテルのかまど」で既に再現されていたのですね。
ただ、こちらはマロンクリームで作られたもの。
私は小説通り、生クリームとジャムで再現してみました。
クレープ生地は焦がしバターが美味しそうだったので「グレーテルのかまど」のレシピ通り作りました。
生地はこちらを参照ください。
「ミルクレープ」レシピ
材料
20cm1台分
クレープ生地 15~18枚
生クリーム 200g
グラニュー糖 30g
好みのジャム2~3種類 適量
ブルーベリージャム、アンズジャム、りんごジャム使用
粉糖(仕上げ用)
1.ボウルに生クリームを入れ、氷水にあてながら泡立てグラニュー糖を加える。
2.冷えたクレープ生地1枚に生クリームを塗り、生地を重ねる。
3.ブルーベリージャムを塗り、生地を重ね生クリームを塗る。
4.アンズジャムを塗り、生地を重ね生クリーム、生地、りんごジャムと重ねていく。一番上に生地をのせる。
5.ラップで全体を包み、冷蔵庫で1時間冷やす。
6.好みで粉糖をかける。
フランス語で「千枚のクレープ」の意味を持つ「ミルクレープ」。
発祥は日本なんですって。
1978年にオープンした西麻布の「ルエル・ドゥ・ドゥリエール」というケーキ店が発祥なんです。
そういえば当時話題になってた気がします。
今でもお店は営業しているのでちょっと行ってみたくなりますね。
クレープ生地と生クリーム、ジャムを重ねるだけでとびきり美味しいおやつが出来ました。
間にフルーツを挟んだりクリームを変えたりと様々なバリエーションが楽しめそうです。
まとめ
お父さんの誕生日に子供ながらに作ったミルクレープ。
雫さんの家族はこのミルクレープ、一生忘れないだろうなぁ。
死ぬ事は怖い。
たぶん、いくつになっても。
最後は感謝の心を持ちつつお迎えが来てほしいなぁと思ってしまいました。
悲しかったけれど心地よい余韻に浸れる作品でした。
フライパンでも充分作れるけれど専用のクレープパンがあると綺麗に焼けます。
ポチッとしていただくとうれしいです。
よろしくお願いします。