「店長がバカすぎて」早見和真 角川春樹事務所
早見和真さんは2015年に「イノセント・デイズ」で日本推理作家協会賞を受賞、2020年「店長がバカすぎて」で本屋大賞ノミネート、「ザ・ロイヤルファミリー」でJPA賞馬事文化省・山本周五郎賞を受賞されています。
私はこちらの「店長がバカすぎて」が初読み。
話題になっていたし、何といっても本屋さんが舞台。一度は本屋さんで働いてみたいと思ってはいたので書店員さんの実態が垣間見えて、ちょっとクスっと笑える小説でした。
「店長がバカすぎて」あらすじ
本が大好きな独身、28歳の谷原京子は吉祥寺の「武蔵野書店」で契約社員として勤務。薄給にもめげずに大好きな本を世に広めることを生きがいとして日々奮闘。
店長の山本猛がタイトル通りちょっとウザい存在で面倒そうだが、憧れて入った先輩書店員さんの小柳真理さんが頑張れる支えとしていたが、まさかの退職。
店長や同僚の書店員、お店のお客様や出版社の営業、作家さんなど絡み合う人間関係が面白おかしく描かれています。
「店長がバカすぎて」感想
どれだけおバカな店長なんだろうと読み進めたけど、なかなか愛嬌があってそんなに悪くないかもと思っていたら、あらあら谷原京子ちゃんもバカ程可愛いっていう感情が沸き上がっているみたいで微笑ましい。
おバカな店長が繰り広げるエピソードの内容かと思いきや、恋愛あり、最後は思ってもみなかった展開にもなって結構盛りだくさんに詰め込まれて読み応えありました。
学生の頃本屋さんかケーキ屋さんでバイトしたいと思って結局ケーキ屋さんを選んだのだけど、今でも本屋さんで一度は働いてみたいなぁという願望はあります。
でも実際はレジだけではなく、毎日山のように入る新書、返本処理等々仕事は山ほどあるだろうし、何といっても本は重たいので重労働。最近はクレーマーも多いでしょうし、薄給というのもあって正直働ける自信はあまりないかも。
それでも本になる前の作家さんのゲラが読めたりサイン会などで作家さんと触れ合ったりと羨ましい部分も多々あって、本屋さんへの憧れは本が好きな限りなくならないのでしょうね。
コメディの話かと思ったら最後はミステリー要素も交って、タイトルには想像できなかった展開で話題になった理由がわかり、意外に奥深い内容で面白かったですよ。
本が売れないので閉店するお店が多いのだけど、確かに電子書籍は便利で私も利用はするけれど、紙の本には代えがたいものがあります。
本屋さんの日常も垣間見れて本屋さんの大変さも理解が深まり、とにかく本屋さんが絶えないように利用しなきゃと改めて思います。
まだ謎な部分があるなぁと思っていたら続編が出たのですね。続きが気になります。
本の中の美味しいもの
京子ちゃんの実家が神楽坂で居酒屋を営んでいて、そこのメンチカツも美味しそうだったけど、特に美味しい描写はなし。
でも気になったものが「ちくわを挟んだパン」。
ちくわを挟んだパンをバッグヤードで貪っていた私のもとに、アルバイトの磯田さんがやってきた。
それでも、鬱々とした気持ちは半分しか消えていない。昼休みにちくわを挟んだパンを食べながら、私は一週間分の新聞広告に目を通した。
「店長がバカすぎて」より引用
どちらもクレーム客の後の京子ちゃんのお昼ご飯。
これって、自分でパンにちくわを挟んだのか、元々ちくわを挟んだパンを購入したのかは謎ですが、吉祥寺なんて美味しいパン屋さんがたくさんあるのに、ちくわというそのセレクト、ちょっと京子ちゃん面白過ぎる。
読みながら「ちくわパン」が頭から離れません。
京子ちゃんは単純にパンにちくわを挟んだだけのような気がしますが、「ちくわパン」は元々北海道札幌市の「どんぐり」というお店が発祥のようで、今では全国に広がっています。ちくわの穴にツナマヨなどの具材を詰め、パン生地に包んで焼き上げたもの。
実は私もちくわパン大好きで見つけると必ず買ってしまうんです。
不思議と病み付きになっちゃうんですよね。
「ちくわパン」に興味がない方には見逃してしまう一文でしたが、京子ちゃんが不貞腐れながら食べている「ちくわパン」、私も食べたくなっちゃいました。
パン生地から焼き上げるのは大変なので、パスコの米粉ロールを使って簡単に作ってみました。
「ちくわパン」だけでは栄養が足りないので、多分野菜ジュースがセットなのでは?と。
「ちくわパン」レシピ
材料
ロールパン 3本
ちくわ 3本
ツナ缶 1缶
玉葱 大匙1(みじん切り)
マヨネーズ 大匙1
塩、こしょう 少々
ピザ用チーズ 適量
1.パンの真ん中を半分に切る。ちくわは縦に切り込みを入れる。
2.ツナの油を切って、ボウルに入れ玉葱のみじん切り、マヨネーズ、塩、こしょうを加え混ぜておく。
3.ちくわの内側に②を詰めて、焼き色が上に来るようパンに挟む。
4.ピザ用チーズをのせてオーブントースターで2~3分軽く焦げ目がつくまで焼いて出来上がり。
ちくわは小さめの物を使用。
パンにちくわ?って合わないでしょうと思っている方、騙されたと思って一度試してみてください。
京子ちゃんのようにパンにちくわを挟むだけでも美味しいから。ちょっとマヨネーズ付けてね。
私の家の近くのパン屋さんではカレーソースがかかってました。
アレンジは無限に出来そうです。
まとめ
特に美味しいものの描写があるわけでもない真っ当!?な小説でしたが、「ちくわパン」は収穫。秘かに大好きなものなので。
京子ちゃんがもっと本を広めたいように、私も「ちくわパン」の美味しさを世に広めたいものです。
