「麦本三歩の好きなもの」
2016年の本屋大賞で「君の膵臓をたべたい」で2位を受賞された住野よるさんの著書です。
住野よるさんの本は初めてなんですが、「君の膵臓をたべたい」は映画やアニメ化されるまでの人気小説で読みたいと思いつつ、どうもタイトルが苦手でスルーしていましたが、住野よるさんの作品には興味はあったので「麦本三歩の好きなもの」を手にしてみました。
「麦本三歩の好きなもの」あらすじ
麦本三歩という図書館で働く女の子の日常、特に好きなものを描いたエッセイのような小説です。
三歩ちゃん自身はすぐに自己嫌悪に陥ってぐずぐず悩みまくり、不器用で少々抜けている性格。他人からみたら、天然キャラの今でいうあざと可愛いタイプというのかな。
特に大きなストーリーはないのだけれど、三歩ちゃんの好きなものを12編の短編にまとめたものです。
しゃべり方とか行動とかに癖があるので私的にはちょっと苦手なタイプだけど三歩ちゃんを知るうちにだんだん憎めない存在になっていってるのが不思議。
実際図書館の先輩や友達からは結構愛されている存在なんですね。
日常の何気ない好きなものを好きと思えることが幸せなんだろうなぁと気づかせてくれる1冊でした。
「麦本三歩の好きなもの」感想
最初は三歩ちゃんの独特なワードが読みづらく、ストーリーも特にないので、読み進めるのに時間がかかりましたが、だんだん三歩ちゃんワールドに入り込み、可愛くなってきちゃうんですよね。
びっくりしたのが住野よるさんは男性だということ。
読んでいて絶対に女性の文章だと思っていたのに、衝撃的でした。
まだ若いのでこれからどんな小説を書かれるのか楽しみです。
とにかく読み進めるほどじわじわとくるスルメのような小説でした。
好きなものという事ではやはり食べ物も結構描かれています。
本の中の美味しいもの
ブルボンのお菓子
三歩ちゃんの好きなものということで、当然食べるものも多く出てきます。
何気ないものなのですが、三歩ちゃんの手にかかると特別美味しいものに感じられてしまうのです。
その中で「麦本三歩はブルボンが好き」というお話。
スーパーでお菓子を買っているところに先輩と出会い、先輩の家で手料理をご馳走になり、お返しに購入したお菓子を一緒に食べるという何てことはないお話なんだけど、三歩ちゃんのブルボンのお菓子愛が凄すぎて、つい私も買いに行ってしまいました。
今夜もカロリーきめてハイになってやろうと、三歩は早速目に入った大好物のバームロールを屈んで手に取った。ホワイトクリームとちっちゃいロールケーキを合体させるという禁止された黒魔術のように凶悪なその味を想像すれば、三歩は既にノックアウト寸前。口に運ぶ瞬間を想うだけでぶっとぶ。
中略
「ブルボン原理主義じゃなんですが。なんかこう、ラインナップのパワーバランスを考えた時にブルボンが一番自分の中の天下一武道会団体戦の部を勝ち上がる可能性が高いというか」
「麦本三歩のすきなもの」から引用
まあなんともブルボン愛がさく裂した発言がポンポンと出てきますね。
でも考えてみたら私もお菓子を買う時って何気にブルボンの商品を買うことが多いことに気づきました。
ブルボンのお菓子ってクオリティが高い割に値段は安いんですよね。
アルフォートなんてあんなに美味しいのに108円。
もう100円台で買えるチョコレートって少なくなっているので、アルフォートは希少価値です。
クッキーとのコラボが絶妙な美味しさを醸し出しています。
三歩ちゃんのブルボン愛の熱意に押され私も久々に買っちゃいました。
バームロールは初めて買ったんだけど、ちょっと小腹が空いたときにいいですね。
バームクーヘンとロールケーキを合わせてかる~~く、サクッと食べられます。
ご飯の後のワインと一緒に食べても美味しかったです。
素朴な美味しさで三歩ちゃんの言う通りブルボン凄い!!です。
並べると確かに幸せな気持ちになりますね。
高い値段のスイーツじゃなくたって充分満足出来ちゃいます。
ブルボンのお菓子の他にも「麦本三歩は今日が好き」編ではチーズ蒸しパン愛がさく裂していました。
こちらも確かに外れなく美味しい。
三歩ちゃんの味覚についていこうって気になっちゃいました。
まとめ
何だか不思議な作品でした。
最初は戸惑ったけど、どんどん麦本三歩ちゃんワールドに惹きこまれてしまう。
平凡だと思う日々も自分の好きなものを感じるだけで充分幸せなんですよね。
もっと自分の好きなもの大事にしようと思わせてくれた1冊でした。
続篇もでていますね。
もう少し三歩ちゃんに付き合ってみようかな。
ポチッとしていただくとうれしいです。
よろしくお願いします。